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健康と栄養

世界中で「和食」が人気ですね。そう、ヘルシーでおいしいですもん! ところが当の日本人の栄養バランスはどんどん悪くなっているんです。国民医療費の2割、死因の5割近くを生活習慣病が占めている現実。キレやすい子どもの増加には「朝食欠食」による低糖質が一因とも。1980年代の理想的な食事とはどんなものなのか、賢く食べることを考えてみましょう!

栄養と栄養素

栄養とは、食べ物が消化・分解され体内に吸収されて、エネルギー源となったり、身体の組織を作ったり、生体機能を調整したりする一連の営みのこと。栄養活動の源となるものを「栄養素」といいます。

栄養素の中でも体を動かすエネルギー源となる「糖質(炭水化物)」「脂質」「たんぱく質」を三大栄養素といい、これに体の調子を整える「ビタミン」「ミネラル」を加えて五大栄養素と呼びます。さらに人の消化酵素では分解できない「食物繊維」と「ファイトケミカル」を加えた7つの栄養素をバランスよくとることがだいじなんです。

糖質(炭水化物)のはたらき

糖質(炭水化物)は、体や脳のエネルギー源。「脂質」より消化・吸収の早いエネルギーが、1gあたり4kcal作り出されます。なお、糖質のうち消化吸収されない「食物繊維」は、血糖値の上昇を抑えて、コレステロールの排泄を助けています。

不足すると、たんぱく質や体脂肪が分解されてしまうので、筋力量の低下につながりますよ。また、集中力の低下、疲労、食物繊維不足につながるともいわれています。過剰摂取は肥満や糖尿病、心血管疾患などの原因になるので注意が必要です。

脂質のはたらき

脂質は、糖質(炭水化物)やたんぱく質の2倍のエネルギー(1gあたり9kcal)を生み出すエネルギー源です。細胞膜を構成したり、体の機能を調整したり、さまざまなホルモンの材料になります。また脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を促す働きも。

不足すると、疲れやすくなったり、抵抗力のが低下したり、皮膚や便秘のリスクが高まるとも。過剰摂取は肥満、動脈硬化、脂質異常症などの原因になるので注意が必要です。

たんぱく質のはたらき

たんぱく質は、骨、筋肉、血液、皮膚、髪や爪などを作ったり修復したりする生命維持に欠かせない栄養素です。酸素やホルモンの材料にもなります。たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち、「ロイシン」「トリプトファン」など9種類の必須アミノ酸は体内で合成できないため、食品から補う必要があります。

不足すると低栄養状態となり、運動機能や活動量が低下します。過剰摂取は腸内環境の悪化、尿路結石や肥満などの原因になるので注意が必要です。

ビタミンのはたらき

ビタミンは、糖質、脂質、たんぱく質の代謝や吸収や体の機能の調整に欠かせない栄養素です。体内ではほとんど作ることができないので食事からとる必要があります。

慢性的なビタミン不足が続くと、欠乏症やさまざまな不調があらわれます。13種類あるビタミンは「水溶性ビタミン」「脂溶性ビタミン」に分けられ、「脂溶性ビタミン」は過剰摂取により健康を損ねることもあるので注意が必要です。

水溶性ビタミン(9種類)

ビタミンB群(8種類)、ビタミンC
熱に弱く、水に溶けやすい。一度に多く食べても尿として排出されてしまうため、欠乏症にならないようこまめな摂取が必要。欠乏症の心配はほぼない。

脂溶性ビタミン(4種類)

ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK
水に溶けず体内の脂質に溶けて脂肪組織や肝臓に蓄積される。欠乏症が起こりにくい反面、過剰摂取による健康障害に注意が必要。

ミネラル(無機質)のはたらき

ミネラルとは、酸素・炭素・水素・窒素以外の体内に存在する元素のことをいいます。骨や筋肉、臓器や血液の材料になったり体の調子を整えたりします。カルシウムやリンなど体内に多く存在する「多量ミネラル」、ヨウ素や鉄など体内に少ししかない「微量ミネラル」に分類でき、16種類が認められています。体内でほとんど作ることができないため、食事からとる必要があります。不足が続くと体に不調があらわれることがあるので注意が必要です。

食物繊維

食物繊維は、血糖値の上昇を抑え、コレステロールの排出を助けます。食生活の欧米化により、日本人の米の摂取量は食物摂取全体の5分の1に減少。食物繊維をしっかりとることで、空腹状態を回避でき、食べすぎの防止につながります。便秘予防、腸内環境の改善、心筋梗塞発症リスクの軽減などに効果があるといわれています。なお、食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分けられます。

不溶性食物繊維

水に溶けない食物繊維。水分を吸収して便をやわらかくしたり、かさを増やして排便を助ける。腸内の有害物質を吸着させて体外へ排出する働きも担う。

水溶性食物繊維

水に溶ける食物繊維。小腸での栄養素の吸収をおだやかにして血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールやナトリウムを吸着して便として体外へ排出したりする。

ファイトケミカル(フィトケミカル)

ファイトケミカルは、植物が病害虫や紫外線から身を守るために作り出す「苦味」「辛み」「えぐみ」「色素」などの成分のこと。代表的なものに「ポリフェノール」「アントシアニン」「カテキン」「イソフラボン」などがあります。強い抗酸化作用があり、殺菌効果、免疫力の向上、老化や生活習慣病の予防としてその効果が期待されています。

理想的な栄養バランス

健康食として「和食」が見直されていますが、残念ながら現代の「食事」をいっているのではありません。栄養バランスが理想的だったのは1980年頃とも。

1960年(昭和35年)のPFCバランス(3大栄養素の摂取カロリー比率)は、炭水化物に偏っていました。ところが1980年(昭和55年)になると、理想に近いバランス(たんぱく質13% 脂質27% 炭水化物60%)となりました。その後、高度経済成長を経てファストフードやファミレスが一般的となり、食の欧米化が進み、便利な加工食品が増加。まさに「一億総グルメ時代」の到来です。

その結果、カロリーや脂質・砂糖の過剰摂取による糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が激増し、今ではガンや脳血管疾患、心疾患などの生活習慣病が医療費の2割、死因の5割を占めるまでになってしまいました。

ここでもう一度、「あの頃」の理想的な食事を見直して、健康で豊かな食生活を考えてみたいと思います。

健康食としての「和食」

旬の野菜を主体に多彩な食材を多様な方法で調理する日本人の食事「和食」は、炭水化物、脂質、たんぱく質のみならず、体の調子を整えるビタミンやミネラル、ポリフェノールなどのファイトケミカルもバランスよく摂取できます。加熱した煮物や和えものが中心なので、たくさんの野菜を食べることができるのです。 こうした1980年ごろの食事は「日本型食生活」と名付けられ、2000年3月に「食生活指針」、2005年6月に「食事バランスガイド」が作成されています。

「生活指針」とは

2000年(平成12年)3月に厚生労働省・文部科学省・農林水産省が共同で策定した「望ましい食生活を維持するための指針」。生活の質の向上、バランスのとれた食事内容、食料の安定供給、食文化や環境への配慮まで食生活を広くとらえた内容となっています。

<食生活指針>
農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/shishinn.html
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000128503.html
文部科学省:https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1292952.htm

【食生活指針/10項目】

ということで。 何だか国のまわしものみたいになってきました(笑)

「食事バランスガイド」とは

健康で豊かな食生活の実現を目的に策定された「食生活指針」(2000年3月)を具体的行動に移すため、2005年(平成17年)6月に厚生労働省・農林水産省から発表されたもの。健康な食生活を目指すための食事の望ましい組み合わせと量をイラストで示しています。

食事バランスガイドでは、食べるべき料理として「①主食 ②主菜 ③副菜 ④牛乳・乳製品 ⑤果物」を上からコマのイラストにあてはめ、1日の摂取量を「セービング(SV)」という単位で数えます。コマの軸は「水・お茶」、コマの回転は「運動」、コマを回す紐を菓子や嗜好飲料に例えて、食事バランスが誰にでもチェックできるようになっています。参考にして、献立を考えてみましょう♪

<食事バランスガイドほか>
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
フレイル予防(厚労省):https://www.mhlw.go.jp/content/000620854.pdf

毎日食べたい10の食品群

「さあにぎやかにいただく」という言葉を聞いたことがありますか。 これは健康のために毎日食べたい10の食品群の頭文字をとった合言葉。「食品摂取の多様性スコア」に基づいて東京都健康長寿医療センター研究所が開発したものです。毎日、7つ以上の食品群を取ることを意識して、体の調子を整える食事を心がけていきましょう~!

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